医学部受験だけでなく、大学受験において重要なのが”模試”です。
ですが模試と一口に言っても予備校によってそれぞれ特徴が違いますし、模試をどうやって活用したらよいかというのはなかなか難しいところですよね。
そこで今回は医学部に合格するために各予備校ごとの模試の特徴や模試の活用法について、解説していきたいと思います。
医学部受験で模試を受けるメリット
まず模試を受けるメリットについてです。
模試というのはどうしても判定がしっかりと出てしまうため、「E判定が出るのが怖い…」と受験するのを敬遠してしまう受験生も少なからずいるようです。
確かに気持ちはわかるのですが、模試というのは自分の今の実力と志望する大学まで、合格までどのくらいの距離があるのかを示すみちしるべのようなのものなのです。
また本番さながらの緊張感、時間配分でテストを受けることで緊張感に慣れたりすることができるというメリットもあります。
合格するためには模試は必要不可欠なのです。
各模擬試験の特徴を解説
模試を受けるメリットについて解説したところで、ここからは各予備校ごとに行っている模試について、その特徴を解説していきたいと思います。
駿台予備校模試
まずは大手予備校である駿台予備校が実施している模試について解説します。
駿台模試に限ったことではないのですが、模試は大まかに分けて
- マーク式模試
- 記述式模試
の2種類があります。
簡単に解説するとマーク模試は共通テストに、記述式模試は国公立の二次試験や私立大学の試験に近いですね。
また、2つ目の記述式模試については細かく分けることができ、
- 駿台・ベネッセ記述模試
- 駿台全国模試
- 大学別入試実践模試
といったように細かく分けられています。これらを詳しく見ていきましょう。
駿台・ベネッセ記述模試
一つ目の駿台・ベネッセ記述模試ですが、こちらは駿台の記述式模試の中では最も難易度が低い模試となっています。
2022年には10月に開催されました。
問題もスタンダードなものが多く、基礎がしっかりと固められているかをチェックするためにおすすめの試験といえるでしょう。
ちなみに、「医学部受験ならいっぱい難しい問題が出題される模試を受けたほうがいいのでは…?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれは間違いなのです。
大学によっては医学部以外の学部と受験問題が共通のこともあるので、そういった大学では難しい問題を解けるようになることよりもスタンダードな問題を取りこぼさないことが実は合格への近道だったりするのです。
駿台全国模試
次に紹介するのは駿台全国模試についてです。
2022年には5月、9月の2回開催されました。
こちらは駿台の模試の中だけでなく、すべての模試の中でも問題の難易度がトップクラスに高いです。
そのため模試を受けるのも東大、京大、医学部志望の学生が多く偏差値も普段の模試と比べて10以上低く出ることもザラです。
駿台の記述模試の中では冠模試を除いて最後に実施されることもあり、医学部を受験するのであれば腕試しとしてぜひともおすすめの模試です。
大学別入試実践模試
最後に紹介するのがこちら、大学別実践模試です。
別名「冠模試」とも呼ばれており、「北大実践模試」、「九大実践模試」といったように各大学の名前を冠した模試となっています。
2022年には東大、京大、大阪大、東北大、名大、北大、九大といった旧帝大に加えて神戸大の実践模試が開催されています。
これらの模試を受ける最大のメリットとして、各大学の入試問題の傾向に沿った問題を解くことができる、ということが挙げられます。
実践模試で出題された問題とほとんど同じ問題が入試でも出題されたということが今までにも多々ありましたので、自分の志望する大学の冠模試が開催されているのなら受けない手はないでしょう。
模試の復習も行うことで大きな学習成果を得ることができるはずです。
ここの模試でよい判定をとることができれば大きな自信につながると思いますよ。
河合塾模試
次に河合塾模試について紹介します。
河合塾も駿台と並ぶ大手予備校であり、問題の質が高いので多くの受験生が受けています。
河合塾模試も先程の駿台模試と同じく、マーク式模試と記述式の模試があり、記述式模試は全統記述式模試と大学別模試に分かれています。
全統記述式模試は駿台の模試にくらべてスタンダードでありつつも、程よい難易度の問題が出題されているため、志望大学のレベルに関わらずおすすめできる模試です。
ちなみに、大学別模試では早慶レベル模試というものが開催されています。
駿台では私立大学の大学別模試は開催されていないので、慶應医学部志望の方や滑り止めとしてこれらの大学を受験される方はこの模試も受けておくといいかもしれませんね。
東進模試
次に東進模試についてです。CMやメディアでお馴染みの予備校ですね。
全国に東進ハイスクール、東進衛星予備校の校舎があるため、現役生などは利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
東進の模試の特徴は受験してから結果が返却されるまでの期間がとにかく短いことです。
共通テスト模試ではなんと最短5日で結果が戻ってくるため、復習がしやすいです。
成績表も単元ごとに分かれており、前年に同じ志望校に合格した方の成績も知ることができるので自分の弱点などを把握しやすいです。
また東進では医学部82大学判定テストというものが開催されています。
医学部専門の予備校として有名なYMSやメビオなどと協賛している模試で、医学部模試としてはトップクラスの完成度です。
受験問題が医学部だけ別になっている大学や私立の医学部を受験する方は特に受けておくといいでしょう。
医学部受験専門予備校模試
メビオや野田クルゼといった医学部専門予備校が開催している模試もあります。
こちらは私立医学部志望の方に特におすすめです。
メビオなどでは私立大学版の冠模試が開催されており、順天堂大学、杏林大学といったように有名私立医学部の模試は大体開催されています。
例年11月〜1月くらいに開催されており、国公立医学部志望の人は日程的に無理して受ける必要はないかと思います。
模擬試験の比較表
ここまで紹介した模試の一覧です。
この後でも紹介しますが、模試はやみくもに受ければいいというものではなく、自分にあった模試を受けるようにしましょう。
模試名 | 難易度 | 特徴 |
---|---|---|
駿台模試 | 簡単~高い | 幅広いレベルに対応 |
河合塾模試 | 中~高い | スタンダードな問題が出題 |
東進模試 | 中~高い | 成績表の返却が早い |
医学部専門予備校模試 | 高い | 医学部の大学別模試 |
医学部合格のための模試の受け方(国公立編)
それではここから、模試をどのように活用すればよいのか、時系列順におすすめの方法を活用していきたいと思います。
まずは国公立大学の場合のおすすめ活用法について紹介していきたいと思います。
①模試の申し込み
まずは自分の受験する模試を選びましょう。基本的には同じ予備校が開催している模試を1年を通して受けるのがおすすめです。
浪人生であれば自分の所属する予備校の模試を受けるだけでいいと思います。
同じ予備校の模試を受けることで前回の成績との比較がしやすく、自分の苦手な分野などを可視化しやすくなります。
私立医学部志望の方や志望する大学の冠模試が開催されている場合には他の予備校が開催している模試を受けるのがいいと思います。
②模試を受験する
模試を受験するときは、なるべく本番と同じ日程で行動するようにしましょう。受験当日と同じ時間に起床、出発することで本番の試験がイメージしやすくなります。特に共通テスト模試の場合は受験本番と同じスケジュールにするのがおすすめです。
受験した後はなるべく早めに復習しましょう。
多くの模試では受験した当日に解説書がもらえると思いますので、そちらを使いましょう。
とはいえ模試を受けた当日は夜遅くなりがちですし、最悪次の日でもよいかとは思います。
復習の方法としては解説書の受けた科目を通して読み、自分の解答の方針が間違っていないか、解けなかった問題はどうやっていたら解けたかをチェックしましょう。
解けなかった問題については解説書に自分がどうして解けなかったのか、必要な知識などをメモしておくと後々役に立ちます。
また、問題の冊子は捨てずに保管しておきましょう。
③結果が帰ってきたら
東進模試以外は一か月ほどで模試が帰ってくると思うのでまずは成績表を確認しましょう。
判定がどうしても気になるところですが、そこで一喜一憂せずに単元ごとの得点の一覧をチェックしましょう。
特に共通テストなどのように出題される単元がある程度固定されているものについては自分の苦手な範囲を知ることがかなり重要です。
成績表を見たら、問題冊子を使って間違っていた問題を解説書を見ながら解いてみましょう。
数学であれば式変形や公式を使った意図などをしっかりと理解して解くようにしましょう。
解き終わったら模試で解けなかった問題とその解説を切り抜いてノートなどにまとめておくのがおすすめです。
間違えた問題のノートを作ることで苦手な分野が浮き彫りになってくるはずです。
定期的に解きなおしておくと知識が定着しやすいですね。
予備校に通っている方であれば模試の復習講座が開催されていることがあります。もしあればそちらもぜひとも受けておきましょう。
医学部合格のための模試の受け方(私立入試編)
それでは次に私立大学を受験する場合の模試の活用法について紹介していきたいと思います。
模試を受験した後の流れはほとんど同じなのですが、私立大学の場合は冠模試が様々な予備校で開催されているため、複数の大学を併願している方にとってすべて受けるのは日程的にかなり厳しいと思います。
今回はいくつかを紹介していきたいと思います。
メディカルラボ模試
メディカルラボは河合塾系列の医学部専門予備校です。
2022年、2021年と1,000人以上の受験生を医学部に合格させている予備校です。
大手なので蓄積された膨大な情報を活かしたサービスが特徴です。
その一つの例が「学力特性診断」です。
学力特性診断とは各科目ごとに応用力、解答スピードなどを細かく算出し、それを各大学の出題傾向と照らし合わせてどの大学と合っているかを診断してくれるというものです。
私立大学の出題傾向は千差万別なので、自分の合格可能性が最も高い大学を教えてくれるというのは大手の情報力だからこそできるものですね。
まだ志望大学が決まっていない場合などにおすすめです。
メビオ模試
次は先ほど軽く紹介たメビオ模試についてです。創立40年以上の老舗予備校なので医学部への合格実績も多いです。
たった1校舎にも関わらず2022年、2021年と200人近い受験性が医学部に合格しています。
先ほど紹介した東進予備校との協賛模試以外にも久留米大学といったような地方の大学や国際医療福祉大学といったような新設の大学の冠模試も開催しているので、受験する大学が決まっている方におすすめです。
富士学院模試
次は富士学院の模試です。
富士学院もメディカルラボ、メビオ同様に医学部への合格実績が豊富な予備校で、模試を開催しています。
こちらの模試の特徴は模試返却時に解説授業、模試のアドバイスを行ってくれるという点です。
アドバイスでは科目、単元別に行った分析結果をもとに合格のためのしてもらえます。
自分ひとりでは見直しに自信がない人にとってはプロにアドバイスしてもらえるのはかなりうれしいですね。
医学部合格のための模試の受け方(学士編入編)
医学部受験には学士編入という制度があります。
これは一度大学を卒業した方を対象にした制度となっており、学士編入者向けにも模試は開催されていますので、紹介したいと思います。
河合塾KALS
河合塾の系列学士編入者向け医学部予備校で、2022年には54名の受験生が合格しています。こちらの予備校では学士編入の模試が開催されています。
学士編入試験は通常の受験問題とはかなり違っているため、学士編入の対策をすることはかなり難しいです。
学士編入を考えている場合には受けることを強くおすすめします。
まとめ
今回は医学部受験をするにあたり、模試の活用法について紹介していきました。
簡単にまとめると、
- 受ける模試をしっかりと選ぶ。私立大学の場合は特に
- 模試を受けたら早めに見返す、結果が帰ってきたらもう一回解く
- 間違えた問題ノート作るのもおすすめ
といった感じですね。
受験生の方々、ぜひとも合格に向けて頑張ってください。