医学部医学科の推薦入試を徹底解説!出願条件や難易度を紹介

医学部医学科で推薦入試を実施する大学の評定平均や試験内容を解説

推薦入試の種類を紹介しながら、それぞれの評定平均や年齢など出願条件を解説。

医学部も現役のみ、一浪まで、多くの大学が推薦入試をとりいれており、その形式はさまざまです。

一般入試よりも倍率は低いですが、難易度は他学部の推薦に比べて圧倒的に高いのが特徴。

もし、条件さえあえば、一般入試での合格を目指しながら推薦入試も視野にいれましょう。

ここでは、私立大学医学部医学科の推薦入試について徹底解説していきます。

目次

医学部医学科の推薦にはどんな種類があるの?

医学部医学科の推薦にはどんな種類があるの?
医学部の推薦入試を大きく分けると以下の2つがあります。

  • 附属校推薦
  • 学校推薦型
  • 総合選抜型

です。

それぞれ大学によっても受験資格が大きく違います。

附属校推薦

川崎医科大学や日本大学、慶応大学など附属高校をもつ大学医学部が行っている推薦方法です。

附属高校からの内部進学なので、高校外部にあまり情報は出回っていません。

川崎医科大学の付属校は比較的進学しやすいとされてますが、慶応大学の場合は、附属校推薦をとるよりも、一般入試に回ったほうが合格しやすいと言われています。

学校推薦型選抜

学校推薦選抜型は一般公募型と指定校型に分かれます。

指定校型は大学から指定されている特定の高校の生徒のみが受験できるタイプ、一般公募型は大学が定める出願条件を満たし、高校の校長推薦があれば出願できるので大学からの指定がなくても、全国のどの高校からでも出願できます。

国公立大学のほとんどは学校推薦をとりいれているのに対し、私立医学部は取り入れていないところも多く存在します。

指定校型

指定校推薦を設定している医学部は以下の大学です。

多くの大学の指定校推薦がほぼ100%合格といわれるのに対し、医学部の場合はほとんどの大学が3倍の競争倍率になっています。

なお、聖マリアンナ医科大学は2023年度から指定校から公募型に推薦様式を変更しています。

東京女子医科大学も令和6年度から指定校推薦を廃止する予定です。

指定校型推薦に必要な評定平均は3.8前後の大学が多くなっています。

大学名 2021年度
指定校推薦倍率
埼玉医科大学 3.6倍
獨協大学 3.15倍
聖マリアンナ医科大学 3.75倍
東京女子医科大学 不明
北里大学 2.1倍
金沢医科大学 3.25倍

以上のように、指定高校限定である推薦であっても高い倍率であることがわかります。

高校内で指定校推薦を受けられることが決まったとしても決して油断はできません。

一般公募型

一般公募型の推薦を行っている医学部は以下のとおりです。

すべての大学が一浪以下となっています。

東海大医学部では「共通テスト」を最終試験に課すこと、他大学も産業医科大学・女子医科大学医学部以外は基礎学力試験や学科試験を課すことが特徴です。

中でも福岡大学医学部及び愛知医科大学は試験科目に数学Ⅲを課してくるため、すべての単元を履修していない現役生はペーパーテストの面で、若干不利といえます。

大学名 出願条件 試験内容
岩手医科大 現役・一浪 ➀英語・数学:80分100点×2 ②理科2科目:60分75点×2 ③面接:15分100点+課題型面接5分×2 ※数学出題範囲:数学ⅠAⅡB
埼玉医科大学 現役・一浪 ①数学ⅠAⅡB(30分20点) ②理科 物理・化学・生物から2領域選択(60分20点×2) ③:英語 コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、英語表現Ⅰ・Ⅱ(30分20点) ④
小論文(和文)(30分20点) 面接 15分
獨協医科大学 現役 ①小論文:題文の読解力や要約力、良好な倫理観及び解答を明確な分かりやすい文章で表現できるかなどを評価(60分) ②英語:60分 ③数学:60分 二次試験 MMI面接
帝京大学 現役 ➀基礎学力適性検査 英語、数学(ⅠAⅡB)、理科1科目選択(物理・化学・生物)② 小論文 出題されたテーマについて、キーワードをすべて使って、 自分自身の考えを1000字以内で書く
東京医科大学 現役・一浪 ➀小論文(36点) 日本語の課題1題、英語の課題1題 ➁面接(24点)③書類審査(12点) ④基礎学力問題(100点) 数理的問題
東京女子医科大学 現役・一浪 ➀【思考力試験】 文章、データ等を示して読解、分析、判断の能力を評価する ➁【小論文】③ 【面接】 10分程度で志望理由書の内容 ④【グループ討論】
聖マリアンナ医科大学 現役 ①自然科学総合問題:90分200点 ②英語:60分150点 ③小論文:60分100点 ④個人面接Ⅰ(グループ討論):90分100点 ⑤個人面接Ⅱ:100点
東海大学 現役 【一次】 書類審査、小論文(60分800字以内)、オブザベーション評価(120分〜170分)、面接(20分〜30分) 【二次】共通テスト
外国語(200点)、数学ⅠA(100点)、数学ⅡB(100点)、理科から2科目選択(200点)
愛知医科 現役・一浪 ①数学ⅠAⅡBⅢ:60分/100点 ②英語:60分/100点 ③小論文:5段階評価 ④5段階評価
藤田医科大学 現役・一浪 【一次】 英語90分100点、数学90分100点、小論文50分 【二次】 講義課題、面接(個人・グループ)※小論文と合わせて200点
金沢医科大学 現役・一浪 【一次:基礎学力テスト】100分200点満点 英語、数学ⅠA、理科2科目選択、一般問題 【二次】 個人面接15分程度(140点)、自己推薦書(60点)
関西医科大学 現役・一浪 【一次】 ①小論文 ②適性能力試験(数理問題・英文問題) 【二次】 面接
兵庫医科大学 現役・一浪 ①数学:60分100点 ②英語:50分100点 ③理科2科目:80分150点(各75点) ④小論文:60分50点 ⑤個人面接・調査書:30点
福岡大学 現役・一浪 【科目試験】 英語、数学(ⅠAⅡBⅢ)の2科目60分、各50点 【グループ面接】
久留米 現役・一浪 ①英語:60分100点 ②数学(ⅠAⅡB):60分100点 ③小論文:60分50点 ④面接:50点
産業医科大学 現役・一浪 ①小論文:120分 ②面接:30分

総合選抜型(旧AO入試)

総合選抜型は「大学が求める学生像」に合った人物を採用する方式です。

高校指定の学校選抜にくらべ、年齢制限が緩いという特徴があります。

特に獨協大学や金沢医科大学は年齢制限が緩く、再受験生にもチャンスがある医学部といえます。

柔道家の朝比奈選手もこれを利用し獨協大学に入学したことが話題になりました。

試験内容は学校推薦の公募型と同じ内容のところがほとんどです。

一部併願が可能な大学もありますが、基本専願のところが多いです。

以下総合選抜を行う大学一覧です。

大学名 年齢制限
岩手医科大学 現役・一浪
埼玉医科大学 現役・一浪
東邦大学 現役・一浪
杏林大学 現役・一浪
獨協医科大学 30歳未満
東京医科大学 現役・一浪(茨城・山梨地域枠)
聖マリアンナ医科大学 現役
愛知医科大学 現役・一浪(地域枠)
金沢医科大学 25歳以下
大阪医科薬科 現役・一浪
川崎医科大学 22歳以下
久留米大学 現役・一浪(地域枠)
産業医科大学 現役・一浪

私立と国公立で推薦入試の違いは?

私立と国公立で推薦入試の違いは?
私立医学部の場合は、独自の学力試験を課すのに対して、国公立医学部のほとんどは推薦入試であっても共通テストを課します。

その受験教科数もほぼ一般入試と同じ場合がほとんどです。

11月ごろに小論や面接、プレゼンテーションなどの一次試験を行い、通過したら、二次試験として共通テストを課すので推薦の合否が12月ごろにわかる私立医学部に比べて共通テストが終わるまで合否はでません。

国公立医学部は私立医学部にくらべ、推薦入試と一般入試ではあまり違いがないといえそうです。

評定平均・年齢制限など出願条件は?

評定平均・年齢制限など出願条件は?
推薦入試の出願条件は年齢・成績・居住地域などがあります。

年齢制限

医学部入試は非常に難易度が高く、長年受験勉強を行っている浪人生がペーパー試験においては有利になってしまいます。

将来の医療現場の為に若い年齢の生徒をとりたい場合は推薦で一定数若年層を取り込みたいというのが医学部の考えでしょう。

このため、総合選抜においても年齢制限は1浪までとしている大学が多くみられます。

年齢制限が比較的緩い大学

京都府立医科大学が4浪まで、獨協大学が30歳未満、金沢医科大学が25歳以下、川崎医科大学が22歳以下と再受験生でも受験可能です。

これらの大学は一般入試でも比較的年齢に寛容である大学といえます。

成績の基準

他学部に比べて医学部の基準は高くなっており、国公立医学部では高校時評定平均4.0~4.7、私立医学部では高校時評定平均3.5~4.3となっています。

高校時評定平均の基準が低いところに関しては、基礎学力テストや小論文

などが非常に難易度が高いものになります。

例えば、評定平均が最も低い関西医科大学は小論文と適正能力試験を課しており、敷居が低いようにみえますが、2021年度入試では
「図形2題」、物理は「電磁気」、国語は「コロナ・ウィルス関連」などその内容は他大学の医学部よりもむつかしくなっています。

居住地域

医学部では地域医療を重視しているところも少なくないため受験者の居住地域を指定している大学もあります。

この場合「地域枠」という形で募集しているところがほとんどです。

一般入試と同様「地域枠」の場合は比較的倍率は低くなりますが、医者として数年間特定の地域に従事しなければいけないという制限があるので注意が必要です。

一般入試に比べて難易度はどう?

私立医学部において一般入試と推薦入試どちらが難しいかは一概には言えません。

医学部受験生それぞれに適性があるからです。

ここでは推薦入試と一般入試の比較をいたします。

学科試験

医学部の一般入試での学科試験は難しい傾向にあります。

これは受験生のレベルが高いため、基礎的な問題ばかりであっても差がつかず、篩にかけるのが難しいからです。

対し、推薦入試は比較的若い年齢層で大学の方針とあった生徒を取ることが目的なので入試問題は基本的で解きやすい素直なものが多い傾向にあります。

特に評定平均の基準が高く、面接・小論重視とされている大学はそれが顕著です。

数学Ⅲを課さない大学が多いのも、現役生に不利にはたらかないような配慮といえるでしょう。

倍率

推薦の場合は入試を受けることが出来る資格をもつ生徒が少ないため、必然的倍率は低くなります。

私立医学部の場合一般入試が2桁の倍率になるのが普通なのにたいして、医学部推薦入試の場合は6倍程度。

一般入試に比べて倍率は著しく低いものといえます。

私立医学部推薦入試に向いている人は?

私立医学部推薦入試に向いている人は?
チャンスを増やすためにも、条件があえば推薦にチャレンジするべきでしょう。

ここでは私立医学部の推薦入試はどのような人におすすめか紹介します。

学校の評定平均は高いが、医学部一般入試のレベルに達していない

現役生の場合は、中高一貫の進学校でない限り、すべての単元が履修し終わるのが11月ごろになってしまうことも珍しくありません。

この場合は、一般入試において、浪人生と戦うのは非常に厳しいといえます。

対し推薦試験は多浪生は受験できないこと、ほとんどの大学が数Ⅲを課してきません。

基礎学力はあるが応用までは厳しい生徒は、推薦入試を利用することがおすすめです。

大学の方針と一致している

推薦入試はペーパー以上に、生徒の人物を重視する傾向にあります。

もし世界に羽ばたきたいと考えているのであれば、「国際医療福祉大学医学部」、過疎地の地域医療に従事したいと考えるならば「東北医科薬科大学医学部」などなりたい自分の像と大学が求める学生像が一致しているのであれば、志望動機なども嘘偽りなく、自分の理想をかけるはずです。

運動部・数学オリンピックなどで成績を残した

部活や数学・生物オリンピックなどで成績を残している生徒はこの成績が推薦入試において有利にはたらくことは間違いありません。

能力の高さはもちろん、一つのことに真摯に取り組むという姿勢が評価される可能性が高いといえます。

小論や面接の準備を効率よくできる

推薦入試の準備は遅くとも10月ごろから始める必要があります。

一般入試の勉強を進めながら推薦入試の準備を行うのは、想像している以上に負担が大きいといえます。

一般入試の勉強を疎かにするのは非常にリスクが高いので、短期間小論を書いたり、面接のノウハウを身につけられる生徒にはおすすめです。

逆に推薦入試を検討している段階で著しく面接が苦手である、小論を書くことに時間がかかる生徒はおすすめできません。

おすすめの対策法

おすすめの対策法
推薦入試を狙う場合は一般入試との併願を念頭に置いたうえで効率よく対策するべきです。

まずは情報を集めることから始めてください。

近年MMI面接を取り入れる医学部が増えてきています。

これは、どんなに面接が得意であるという自信があったとしても、ある程度練習する必要があります。

情報収集としては

  • 学校の先生に相談する
  • ネットの情報をさがす
  • 医学部予備校にいく

があげられます。

中でも筆者がおススメなのは「医学部予備校にいく」ことです。

医学部予備校は多くの推薦入試の情報をもっています。

各々の医学部予備校HPをみると総合選抜への合格人数などが載っているので、自分の志望する大学への合格者が多く出ているところに問い合わせてください。

多くの医学部予備校は「本科生」にならなくても、一部情報を開示してくれます。

また、「大学ごとの総合選抜対策講座」を期間限定で設けているところもあるため、それを利用することもおすすめです。

倍率が低いといえども医学部の推薦入試は簡単なものではありません。常に一般入試での合格を一番の目標としながら、効率よく推薦対策を行って下さい。

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