文系出身でも医学部再受験で合格は可能?

文系出身でも医学部再受験で合格は可能?

文系出身でも医学部再受験で合格は可能?

文系出身の医学部再受験生でも合格できるかについて年齢や大学など様々な視点から考察。

目次

文系からの医学部再受験合格に必要なポイントを解説

医師として地域に貢献したいという高い志があれば、年齢には関係なく医学部再受験に挑戦することができます。

しかし、大学によっては年齢に寛容なところと厳しいところもあります。また、試験の難易度も当然違います。

ここでは、社会人から医師の道を目指す人のために、対策方法や再受験をする方法や医学部再受験で合格しやすい大学などについて具体的に紹介していきます。

医学部再受験とは

医学部再受験とは

大学あるいは高校を卒業して働いている社会人や、大学の他の学部に在籍中の学生が、医師になることを目指して医学部医学科の入試に再チャレンジすることを医学部再受験といいます。

医学部合格を目指す方法としては、一般入試の他にも学士編入で目指す方法もあります。

一般試験で医学部再受験

高校3年生や浪人生と共に入試を受けて合格する方法。

受験資格は、高校卒業または卒業見込みの者。

中卒や高校中退した人で高等学校卒業程度認定試験(高卒認定=旧大検)の合格者も医学部再受験に挑戦することが可能です。

学士編入試験で途中入学

4年制大学の卒業生(学士)が医学部の2年次か3年次から入り直す方法で学士編入といいます

医学部や薬学部など国家資格取得が目標となる学部は、必修科目の関係で2年次編入が一般的。

編入試験は一般入試より試験科目が少ないので楽なように思われがちですが、募集定員が5~10人程度と少ないため倍率が高く、そのうえ学力は旧帝大レベルの受験生ばかりなので難関であることには変わりありません。

医学部再受験では年齢が不利になる?

医学部再受験の資格に年齢制限はなく、30代、40代でも受ける人がいます。

ただ、年齢に寛容な大学と非寛容な大学があることは周知の事実です

たとえば、医学部再受験に寛容な大学としては東京大学、山梨大学、富山大学、大阪大学、九州大学などがあり、年齢が不利になる大学として北海道大学、東京医科歯科大学、防衛医科大学校、京都大学、鹿児島大学などが挙げられています。

しかし、2018年に東京医科大での多浪生差別、女性差別が発覚したのを契機に文部科学省の指導が厳しくなったため、現在は年齢や性別による差別は行われていないと見るのが妥当といわれています。

したがって、公正な入試が実施されている今が医学部再受験生にとっては絶好の機会と言えるでしょう。

とはいえ、国公立・私立を問わず国から補助金(税金)を得て運営している大学としては、医師免許を取ってできるだけ長く社会に貢献してもらいたいがために、学科試験は合格点でも年齢で不合格にすることがあることは否定できないともいわれているので、医学部再受験にとってはまだまだ注意が必要。

しかそ、現在は公正な入試を実施ていても、時間が経てばまた年齢に厳しく医学部再受験には不利な入試に戻すことも否定はできません。

志望校を決めるときは、ネットのブログなどで情報を収集して医学部再受験生の合格実績を調べてみるといいでしょう。

文系出身の受験生でも試験に合格することはできるか?

文系出身の受験生でも試験に合格することはできるか?

医学部再受験の学科試験は大学によって異なりますが、私立大学の医学部は外国語、数学、理科が基本です。

文系卒の医学部再受験生は数学や理科は履修していないため、受験勉強の負担はかなり重くなります。

しかし、大学入試も年々多様化が進んでおり、下記のようなポイントを押さえれば文系出身でも医学部再受験に合格することが十分可能です。

文系科目の配点が高い大学を選ぶ

医学部でも大学によっては、数学や理科より英語や文系科目の配点比率を高くしている大学があります。

たとえば順天堂大学では、英語の配点は数学の2倍近くに設定されています。

帝京大学では国語が選択科目になっており、数学か国語が選択可能なうえ、昭和大学では2021年より国語が選択科目に加わります。

昭和大学では2021年より国語が選択科目に加わります

理系の科目には自信がなくても英語や国語に強く、小論文も得意な文系出身者の医学部再受験生は、そうした大学を選択すれば得点を稼ぐことができます。

医学部再受験は私立が成功率は高い

国公立大学は、大学入学共通テスト(2021年に入試センター試験から移行)を受けなければなりません。

共通テストでは国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目で構成され、この中から最大8科目を受験することになります。

勉強から遠ざかっていた医学部再受験生にとっては負担が大き過ぎます

これに対し、私立大学の医学部は英語、数学、理科(2科目)ですから文系の勉強に費やす時間を理数系に充てることができるので、私立のほうが医学部再受験に成功する確率はより高くなるのです。

医学部再受験の注意点

医学部再受験の注意点

合格は容易ではないこと

医学部入試は高校生の現役生でも浪人生でも合格が非常に難しい試験です。

それを、受験勉強から遠ざかっていた社会人が再受験として取り組むので、より合格が困難であることは容易に想像がつきます。

多くの医学部再受験生は合格できずに失敗という結果で終わっている現実をまずは直視しましょう

それでも医学部再受験を目指すなら、相当の覚悟が努力が求められ、そのモチベーションを最後まで維持させなければなりません。

それくらい医学部再受験は厳しいとうことをまずは知っておいてください。

医学部再受験ブログなどの情報を信用し過ぎないこと

ネット上には医学部再受験のブログが沢山あります。

中には医学部再受験で大学に合格した成功体験を紹介しているブログもありますが、注意したい点が2つ。

まず、1つは、医学部再受験ブログは合格時期は古く、今の入試に即していない可能性が考えられます

入試制度が変更になったり、大学の入試に対する考え・姿勢が変わっていたりすることもあるので、信用し過ぎると誤った情報で対策することになってしまいます。

もう1つは、ブログの執筆者と自分とは境遇が異なることで、性格も違えば、学力や得意科目も異なります。

おすすめの学習法などアドバイスが自分にも合うとは限らない点に注意しておきましょう

独学は回避して専門予備校などで対策すること

医学部再受験生は費用負担を抑えるために参考書を使って独学で勉強している人が多いですが、非効率的で合格の可能性も高くはありません

旧帝大や早慶の理系出身の医学部再受験生なら勉強が得意な人も多いので独学でも合格できるかもしれませんが、それ以外の場合はなかなか難しいのが現実。

独学で合格したとしても医学部再受験に何年も時間を費やしてしまい、お金よりも大事な時間を犠牲にしてしまっています。

医師として一人前になるには10年は必要と言われており、医学部再受験にとっては1年でも早く合格してキャリアを経験を積むことが医師としてのキャリア形成としても重要です

したがって、医学部再受験を決意した場合は短期合格を目指して専門予備校などで適切な対策を行うことをおすすめします。

文系の医学部再受験生におすすめの医学部一覧

文系の医学部再受験生におすすめの医学部一覧

では、国公立と私立それぞれの医学部再受験で成功しやすい大学を紹介します。ただし、年度によって試験内容は変更するのでこれはあくまでも参考です。

詳細を知りたい場合は、各大学の公式サイトから直接お問合せください。

国公立大学医学部医学科

滋賀医科大学

年齢に関しては寛容で、医学部再受験は一般入試から20~30人、学士編入から15人前後が毎年合格しています。

共通テストも合計600点に対して国語が200点と配点比率が高いので、文系出身者が入りやすい大学の上位に挙げられます。

共通テスト 配点(2021年)
英語 数学(2科目) 理科(2科目) 国語 社会 合計
100点 100点 100点 200点 100点 600点
二次試験
英語 数学 理科(2科目) 面接+グループワーク 合計
200点 200点 200点 600点

島根大学

30代、40代の社会人が毎年5~10人、医学部再受験に挑戦しています。

女性の割合が多いのも島根大学の特徴で、年齢や性別による差別のないクリーンな大学といえます

センター試験の合計点が700点と高く、国語の配点も200点なので、文科系出身者の医学部再受験生にとっても有利な大学です。

共通テスト 配点(2021年)
英語 数学(2科目) 理科(2科目) 国語 社会 合計
100点 100点 200点 200点 100点 700点
二次試験
英語 数学 面接 合計
200点 200点 60点 460点

2※宮崎大学は2020年度入試まで二次試験に理科科目がありませんでしたが、2022年度入試から理科2科目を追加したため、文系の医学部再受験生にとってメリットが少なくなったため、おすすめ枠から省きました。

私立大学医学部医学科

帝京大学

年齢に寛容で、クラスの平均年齢も高めです。

偏差値も医学部は65.0(河合塾)なので、私立の医学部再受験を考えている人にはおすすめです。

文系出身者にとって魅力なのは、国語が選択科目になっていること。

共通テスト(旧センター試験)を利用しない人は、英語を除いた5科目の中から2科目選択すればいいので、医学部再受験生でも試験勉強を効率よく進めることができます。

一次試験(英語を除いた5科目のうち2科目選択)
英語(必須) 数学 化学 生物 物理 国語 合計
100点 1科目100点×2 300点
二次試験
面接と課題文あり

昭和大学

昭和大学も年齢や性別による差別で問題になったことがありますが、第三者委員会による検証結果、2019年の入試では「公正かつ妥当な方法によって入学者の選抜が行われた」と結論づけられました。

今後は公正な試験が実施されることが約束されているので、再受験にも安心して臨むことができます。

昭和大学の入試も2021年から帝京大学のように現代国語が選択科目に加わるので、文系出身者にとって穴場となるかもしれません。

一次試験
英語 理科(2科目) 数学 合計
100点 200点 100点 400点
二次試験
小論文・面接

東海大学

私立大学医学部で最初に学士編入制度を設けた大学なので、年齢には寛容です。

医学部再受験は理科1科目で受けることができるのも特徴。

物理、化学、生物のうちの1科目を選択すればいいのですが、1科目で80%以上の高得点が必要です

数学はそれ以上の得点でないと難しいかもしれません。

事実、1科目選択で合格した人の多くは、理系分野で活躍している社会人です。

一次試験
英語 理科 数学 合計
100点 100点 100点 300点
二次試験
小論文・面接

文系出身の再受験生におすすめしない大学

文系出身の再受験生におすすめしない大学

山梨大学

山梨大学医学部は、後期日程のみ募集する珍しい大学で、前期を失敗した受験生が殺到するため難易度は非常に高いです。

しかも年齢も寛容で医学部再受験生にも人気の1つ。

ただし、山梨大学医学部の後期日程二次試験は数学と理科2科目のみ

共通テストでは英語600点という高配点は魅力ですが、共通レベルの英語は基本レベルであるため、医学部受験生であればそこまで差が付きません

したがって、文系出身の医学部再受験生にとっては英語で点数を大きく稼ぐこともできず、おすすめとは言えないでしょう。

共通テスト 配点(2021年)
英語 数学(2科目) 理科(2科目) 国語 社会 合計
600点 100点 100点 200点 100点 1100点
二次試験
数学 理科(2科目) 面接 合計
600点 600点 600点

まとめ

現役学生と比べれば社会人から医学部再受験に合格するのはかなり困難ですが、30代で入学し、40代で医師国家試験の難関も突破して医療現場で活躍しているという人も少なくありません。

長いブランクがあったとしても、自分に合った勉強法と入りやすい志望校を見つければ医学部再受験でも夢は実現します。

まずは現在の自分の学力を把握して、医学部再受験生の指導実績豊富な医学部予備校などで対策することが合格への近道です。

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