一般入試ではなく編入で合格を目指す方へ知っておきたい情報を紹介
一般入試だけが医学部へ入学する方法ではありません。
他学部を卒業している社会人などは医学部学士編入という方法で医師を目指すこともできます。
医学部学士編入試験はどんな制度なのか。
実施大学から、メリットやデメリットなど詳しく解説していきます。
最後に、合格が目指せるおすすめの医学部予備校も紹介しているので、学士編入を検討中の受験生は参考にしてみて下さい。
途中入学で医学部を目指す
他学部を卒業した人や学士号取得見込みの人は、医学部医学科の2、3年次に編入できる医学部学士編入試験を設けている大学があります。
試験は、大学により異なってきますが、学科試験、小論文、面接を採用している大学が多いようです。
また、文系出身者に門戸を開いている大学もあれば、応募対象を理系出身としている大学もあるので事前に確認しておく必要があります。
特に、東海大学医学部では、学士以外の専門卒・短大卒でも応募可能とし、文系・理系問わない試験制度(英語・適正試験・面接)の導入により広く門戸を開いています。
また、山口大学医学部では3年次へ学士編入でき、文系出身者の合格実績もあることから毎年多くの学生が応募しています。
編入試験を実施する各大学医学部一覧
ここでは、どの大学は学士編入試験を実施しているのか一覧で確認していきましょう。
圧倒的に国立大学が採用する数は多いですが、私立大学も実施していることが分かります。
なお、定員や編入年次は変更される可能性も否定できないので、大学公式サイトの入試情報で最終確認するよう心がけて下さい。
国公立大学医学部2023年度入試
大学名 | 定員 | 編入年次 |
---|---|---|
北海道大学 | 5名 | 2年次 |
旭川医科大学※1 | 10名 | 2年次 |
弘前大学 | 20名 | 2年次 |
秋田大学 | 5名 | 2年次 |
筑波大学 | 5名 | 2年次 |
群馬大学 | 15名 | 2年次 |
東京医科歯科大学 | 5名 | 2年次 |
富山大学 | 5名 | 2年次 |
金沢大学 | 5名 | 2年次 |
福井大学 | 5名 | 2年次 |
浜松医科大学 | 5名 | 2年次 |
名古屋大学 | 4名 | 2年次 |
滋賀医科大学 | 15名 | 2年次 |
大阪大学 | 10名 | 2年次 |
神戸大学 | 5名 | 2年次 |
鳥取大学 | 5名 | 2年次 |
島根大学※2 | 5名 | 2年次 |
島根大学※3 | 5名 | 3年次 |
岡山大学 | 5名 | 2年次 |
山口大学 | 10名 | 2年次 |
香川大学 | 5名 | 2年次 |
愛媛大学 | 5名 | 2年次 |
高知大学 | 5名 | 2年次 |
長崎大学 | 5名 | 2年次 |
大分大学 | 10名 | 2年次 |
鹿児島大学 | 10名 | 2年次 |
琉球大学 | 5名 | 2年次 |
※1:地域枠5名以内を含む
※2.3:地域枠2名以内を含む
私立大学医学部2023年度入試
大学名 | 定員 | 編入年次 |
---|---|---|
岩手医科大学 | 7名程度(ただし歯学部を卒業したもの) | 3年次 |
北里大学 | 若干名 | 1年次9月 |
東海大学 | 10名 | 1年次10月 |
学士編入で入学するメリット
2、3年次に編入できるから卒業までが早い
国立大学医学部の場合は2年次、3年次に編入でき、私立大学医学部の場合は1年次後半から編入できるため、在学期間を短縮することが可能です。
早期卒業を実現することで、医師免許の取得が早くなり、早期のキャリア形成が実現できるのが編入試験最大の魅力。
と言うのも医師として臨床現場に立つためには、6年制の医学部卒業後に医師国家試験を受験、その後は2年の初期臨床研修を受けることが必須化されています。
日本では、医師として1人前になるまでには11年から15年かかると言われ、1年でも早く卒業して医師としての経験を積めるに越したことはありません。
したがって、学士編入によって1年短縮できる価値は非常に大きなものとなります。
学費や生活費を節約できるので経済的
学士編入によって6年間医学部に通わなくて済むということは、その分の学費も節約できることになります。
特に私立大学医学部の場合は学費が高額で、1年支払いがなくなるだけでも非常に経済的な影響は大きいです。
例えば、岩手医科大学の場合は3年次に編入できるので、1年次と2年次の学費が不要と言うことになり金額的なメリットは非常に大きくなります。
国立大学の場合でも1年間の学生生活が無くなるということは、その分の学費だけでなく生活費も不要になるので、経済的メリットは決して小さくはありません。
数学が不要な大学が学士編入には多い
医学部の学士編入試験は英語と生命科学で科目構成されている大学が多いため、数学の対策が必要ありません。
いっぽう、一般の大学受験の場合は数学は重要科目であり、得点源にできるかどうかで合否に大きく影響してくるほどです。
したがって、数学に苦手意識がある人は、学士編入試験で対策したほうが合格できる可能性は高くなるかもしれません。
国公立でも併願受験ができる
一般入試の場合は、前期日程と後期日程の2回しかチャンスはありません。
しかし、医学部学士編入試験の場合は日程が重ならない限り、何校でも併願受験ができます。
これは、一般入試にはない学士編入試験の魅力です。
ただし、地元に近い範囲など地域を絞りたい場合は、学士編入試験は実施する医学部が限定されて定員も少ないので、一般入試のほうがおすすめかもしれません。
学士編入で入学するデメリット
募集定員が少なく合格難易度は高い
一般入試に比べると医学部学士編入試験の募集定員は非常に少ないので競争倍率は高いのが特徴。
したがって、合格を勝ち取ることは決して容易ではなく、合格者の多くは旧帝大学や難関大学の学歴を有する学生がほとんど。
また、薬剤師や看護師などの医療関係者は志望理由書が作成しやすかったり、外資系や大手企業出身の社会人はプレゼン慣れしているので有利に進められるかもしれませんが、それ以外だと書類や面接試験の審査で困難に直面するかもしれません。
学士編入試験の資格があるから医学部に挑戦する資格はありますが、決して容易ではないことは事前に理解しておきましょう。
私立大学医学部は選択肢が少ない
学士編入を実施している私立大学医学部は上記のように岩手医科大学、東海大学、北里大学の3大学のみ。
したがって、私立大学医学部の学士編入を希望する受験生にとっては非常に選択肢が限られてきます。
国公立大学医学部の場合は学士編入試験では共通テストが必須ではないうえ、各大学の編入試験内容が大きく異なるため、一般入試と併願する受験生はほとんどいません。
いっぽう、私立大学医学部の場合は、学士編入と一般入試の両方で共通テストが不要であるため、併願しやすいメリットがあります。
しかし、学士編入を実施する大学が限定的で募集定員も多くはないので、難易度は必然的に上がってしまう点がデメリットとなってしまうのです。
英語が苦手だと厳しい
理系出身だと英語の科目が苦手な人も多いと思いますが、この場合は学士編入試験に苦戦する可能性が高いかもしれません。
というのも、メリットでも説明しましたが、医学部学士編入試験の筆記試験では英語と生命科学で構成される場合が多いからです。
また、英語については社会人になってもTOEICなどの資格試験で継続的に勉強していることが多く、抵抗がない受験生も多いのが特徴。
もちろん、TOEICと学士編入試験では出題傾向や問題形式は全然異なりますが、語彙力や文法並びに読解のスキルはある程度習得しているため、有利だることに変わりはありません。
逆に、英語が苦手で資格試験からも距離を置いていた場合は、基礎からの学習が必要になるため、その分学士編入試験では不利になることがあります。
一般入試に比べて情報が少ない
医学部の一般入試に関する情報はネット上でも豊富に見つけることができますが、学士編入試験の場合は情報が非常に限られています。
医学部の大学公式サイトでさえ合格者の最低点を公表していない大学も多く、学士編入試験では面接試験も合否に影響する割合が非常に大きいにもかかわらず、採点基準は不透明。
情報収集は難しいので、学士編入試験を目指す場合はやはり実績ある予備校などに通って信頼できる情報を沢山入手するのが一番です。
学士編入で入学した後は大変?
これまで、学士編入で医学部に入学することのメリット・デメリットについて解説してきました。
学士編入で2,3年次に入学できることは非常に大きなメリットですが、入学した後は大学の授業についていけるのでしょうか。
学士編入試験で課される科目「生命科学」
学士編入試験では、生命科学という試験科目が課される場合が多いです。
生命科学とは、一般に医学部の低学年で学ぶ科目のうち、「分子生物学」「生化学」「生理学」「神経科学」「遺伝学」「組織学」「免疫学」などの基礎医学を中心とした科目を包括して称したものです。
学士編入試験を行っている大学は、試験に生命科学という科目を課すことで、学士編入生が入学後、一般の大学受験で入学した学生たちと知識量に差がほとんどないようにしているのだと考えられます。
そのため、学士編入試験の対策としてだけでなく、あくまでも入学後に知識で困らないように、生命科学という科目はしっかり学習すべきです。
生命科学の独学は危険
しかし、分子生物学をはじめとするこれらの科目を独学でやろうとするのはいばらの道であり、ほぼ間違いなく挫折します。
医学書のような分厚い本を一冊読みこもうとしても、それが何科目分もあるので読み終わるには数年かかってしまうでしょう。
一般入試からの医学生たちも試験対策として医学書を読む人はごく少数であり、多くの場合先輩たちの試験対策プリントであったり、試験対策委員が教授に重要なことを聞きに行ってそれをもとに勉強します。
生命科学は独学でやるのはほぼ不可能なので、実績のある河合塾KALSなどの医学部予備校を活用するとよいでしょう。
河合塾KALSでは各科目群においてテキストが分かれており、確認テストや復習テストなど演習の機会も豊富です。
河合塾KALSのテキストは、一般の分厚い医学書とは異なり、重要事項のみが集約されているので無駄なく試験勉強できることが最大のメリットです。
大学入学後は試験と解剖実習が大変
無事医学部に学士編入試験で合格したとしても安心してはいけません。
実は医者になるうえで外せない一つの要素として、「解剖実習の経験」があります。
解剖実習は医学部でしか行われないものであり、通常1~3年生までの間に行われており、大学のカリキュラムによっては入学後すぐ、学年が下の学生と混ざって解剖実習をするということもあります。
また解剖実習だけで済むならましですが、実習中にも所属学年の授業は進んでいくので、当然試験勉強にも追われます。
そのため入学してすぐは解剖実習と試験勉強に追われることとなってしまいます。
一般選抜と迷った場合は?
では、一般選抜と学士編入で迷った場合はどちらを選べばよいのかということについて、「一般選抜がおすすめの場合」と「学士編入がおすすめの場合」に分けて解説していきたいと思います。
一般選抜がおすすめの場合
- レールが敷かれている方が頑張れる
- 独りで勉強するよりも皆と勉強していきたい
まずは一般選抜がおすすめの場合についてですが、一般選抜の学士編入に対する最も大きなメリットは、一般選抜では圧倒的に受験母数が多いため、どのように受験勉強を進めていけばよいのかという王道ルートが確立されているという点です。
一方で、学士編入は挑戦者も少なく、受験勉強の方針が盤石としてあるわけではありません。
したがって、自分である程度試行錯誤する必要があるので、「あれこれ考えずに勉強に打ち込みたい」という受験生には一般選抜がおすすめです。
また、学士編入は学年の途中で入学するわけですから、一般選抜で入学して一年生からともに学んでいる学生とはやはり距離ができてしまいます。
医学部の試験や、医師国家試験は同学年の学生と協力しながら勉強するという方法が取られることが多いですが、編入生は独りで勉強する必要が出てきてしまうため、周囲の学生と一緒に勉強して試験を乗り越えていきたいという場合は一般選抜で入学して、周囲との関係を築いて置くのが良いでしょう。
学士編入がおすすめの場合
- 経済的に余裕がない
- 一刻も早く医師になりたい
次に、医学部学士編入がおすすめの場合ですが、やはり学士編入の大きなメリットは前述の通り大学に在籍する必要のある期間が短いということにあります。
したがって、六年間分の学費を払う余裕がないと言った場合や、一年でも早く医師になりたいという場合は学士編入をおすすめします。
ただし、もちろん学士編入には先程述べたように受験の王道ルートが確立されていないことであったり、周囲との関係を気づきにくいというデメリットがありますから、その点も考慮しましょう。
対策するなら医学部予備校がおすすめの理由は?
理系大学出身者や医療系に従事している場合は、医学部予備校にいかずともある程度の編入対策は可能ですが、最短ルートの合格を目指すためには、編入対策を行うコースをもつ医学部予備校に通うことをおすすめします。
編入試験対策で医学部予備校を選ぶメリットは3つ
- 多くの情報を効率よく集めることができる
- 編入に必要な勉強の方法が学べる
- バックグラウンドにあわせた対策ができる
多くの情報を効率よく集めることができる
編入試験は一般試験とは異なり、試験日がかぶらなければ複数の国公立大学受験が可能です。
出来るだけ多く受験した方がチャンスが広がることは明白です。
しかし、多くの大学の編入試験の試験科目や日程、受験資格を確認するには労力を費やさなければいけません。
特に、仕事を行いながらの情報取集は大変です。編入コースを設けている医学部予備校に属すれば、自分の現状にあった大学を提案されたり、年によって変化する編入情報を簡単に手に入れることができ、勉強に当てる時間を増やすことができます。
編入に必要な勉強の方法が学べる
一般入試と編入試験の大きな違いは重要科目と面接のウエイトが違います。
一般入試では数学・理科・英語が必須の大学がほとんどなのに対し、編入試験の場合は、「生命科学」や「英語」を必修にしてくるところが多く、その問題内容の出題傾向も大学によってかなり偏りがあり、これを分析することで効率よく対策できるといえます。
傾向を自分で分析することも重要ですが、医学部予備校で分析した結果が繁栄されたテキストを使い対策することが間違いなく合格への近道でしょう。
バックグラウンドにあわせた対策ができる
医学部編入を目指すための独学方法を記したブログや本は多く存在しますが、そこに書かれている方法が自分に合うとは限りません。
一般入試以上に編入試験の場合は受験生のバックグラウンドが重要になってきます。
文系大学・理系大学どちらを出ているのか、「推薦入試」ではなく「一般受験」で大学に入学しているのか、勉強から離れてからのブランクはどれだけあるのか、TOEIC等の英語資格はもつのかなどです。
これらの違いによって、効率の良い勉強方法、受験大学は大きく変わってきます。
自分にあった受験勉強、大学を判断するには経験豊富な医学部予備校を利用することをおすすめします。
おすすめの医学部予備校はどこ?
編入試験対策で合格実績豊富なおすすめ医学部予備校と言えば下記2校でしょう。
- 河合塾KALS
- 大学受験のΣ(シグマ)会
合格実績で選ぶなら河合塾KALS
河合塾KALSは国公立編入合格の74%を占める医学部予備校です。
仕事をしながら1年以内で複数の大学への編入合格を果たした生徒も少なくありません。
編入専門・合格者数NO.1の医学部予備校なので情報量の豊富さは日本一といえるでしょう。
一人ひとりへのきめ細かいフォローも充実しており、基礎→完成→実践とレベルアップしていく教材を研究開発しており、自分のレベルにあったものから進めることができます。
難関大には必須である物理化学の授業も設置しているため、どの大学の編入試験にも万全の対策が可能です。添削指導・面接指導はもちろんオンラインでの受験相談も行っています。
授業配信も行っており24時間好きな時に動画を見ることが可能なうえ、メールでの質問も可能なので、仕事で通学できない方も安心です。
オンラインでも学べるおすすめ医学部予備校は「Σ(シグマ)会」
学費を抑えると同時に、隙間時間を有効活用しながら医学部学士編入を目指す方は大学受験のΣ会がおすすめ。
医学部予備校の中では、数少ない医学部の編入試験対策を行う通信専門の予備校です。
大学受験のΣ会ではこれまで多くの医学部合格者を輩出してきた講師陣が指導してくれるので、豊富な情報とノウハウのもと効率よく勉強できるのが特徴。
自分の学力に合わせて最適な学習計画を提案してくれるだけでなく、入学願書の添削指導や学習相談も徹底サポート。
文系出身の受験生にも対応した初学者向けの生命科学講座もあるので、効率よく医学部編入試験の対策が行えます。
【まとめ】医学部予備校を活用しながら合格を目指しましょう
一度社会に出てから医学部を目指す受験生は、一般受験の生徒にくらべ高い志を持った方々が多く、向学心も高いです。
しかし、編入試験は枠も小さく、専門的な勉強も必要なため簡単なものではありません。
「自分で頑張る」ことも必要ですが、時間・費用面で可能であるならば、早い段階で医者になるために医学部予備校を利用し、効率よく合格を目指すことが得策です。
近くに再受験対策を行う医学部予備校がなくても、現在は多くの医学部予備校がオンラインで授業を行っており、ネット環境が整っていればどこにいても受講は可能になっています。
情報収集の観点からも、医学部予備校に属したり、単科受講を行うことをおすすめします。
編入生はそ特にそれぞれのバックグラウンドが異なります。
医学部予備校を選ぶ際には、編入の対策のために割ける時間、自分の境遇などを面談でしっかり伝え、納得ができる提案をしてくれる医学部予備校を選んでください。