国公立大学医学部を難易度ランキングで細かく解説

国公立大学医学部を難易度ランキングで細かく解説

国公立大学医学部を難易度ランキングで細かく解説

学費が安いことから入試難易度の高い国公立大学医学部の倍率や偏差値ランキング等を用いて詳しく解説。

目次

国公立大学医学部の入試難易度をランキングで分析

受験生の減少で定員割れが出る学部も多い中、医学部は依然として人気が高く、試験も難化する一方です。

国公立大学は私立大学と違って複数の医学部を受験することができないため、短期合格を目指すならどの医学部を選ぶかが重要になってきます。

ここでは、受験校選びに役立つように国公立大学医学部の偏差値、共通テストのボーダーライン、志願者倍率について、ひと目でわかる一覧表やランキング形式で紹介していきます。

国公立大学医学部入試概要

国公立大学医学部入試概要

国公立大学と私立大学では運営団体や学費の違いがありますが、もう1つの大きな違いは選抜試験(入試)です。

まずは国公立大学の入試概要について見てみましょう。

私立と違い共通テストが必須

国公立大学の一般入試では、共通テストと個別試験が課せられます。

全国一斉に実施される共通テストは、高校で学習する教科についての習熟度を測るもので一次試験の役割を果たします。

個別試験は、各大学の教育課程を受けるのにふさわしい能力や資質があるかどうかを見極めるもので、二次試験にあたります。

医学部であれば、二次試験では医師としての能力・資質の有無を問われることになります。

この共通テストと個別試験の総合点で合否を判定するのが一般的です。

しかし、志願者倍率が高い国公立大学では「二段階選抜」を実施することがあり、共通テストの成績次第で二次試験の受験資格を与えないところがあります。

俗に「足切り」とか「門前払い」と言われる制度で、この時点で不合格となりますから、共通テストで高得点を獲得しなければなりません。

文系科目の対策も必要

合否判定に用いる共通テストの教科・科目は大学によって異なりますが、英語、数学2、理科2、国語、地歴公民の計5教科7科目が基本です。

私立大学の医学部なら英語、数学2、理科2の計3教科5科目ですが、共通テストでは文系科目も出題されるので、英数理は模試で毎回満点を取れるくらいの実力をつけ、国語や社会の学力を強化していく必要があります。

ところが、文系が苦手だから克服しなければと国社に時間をかけすぎてしまい、結果的に共通テストばかりかすべり止めの私大医学部まで不合格というケースも。

それを避けるためには勉強の時間配分をしっかり行うことが大切です

二次試験は前期と後期の2回チャンス

共通テストの終了後、自己採点をして志望の医学部を決めて個別試験(二次試験)の願書を提出します。この二次試験は「前期日程(2月下旬)」と「後期日程(3月中旬)」の分離分割方式になっています。

前期の巻き返しで後期も同じ大学の医学部に出願(単願)することができますし、前期はA大学の医学部、後期はB大学の薬学部のように別々の大学・学部に出願(併願)することも可能です。

このように受験チャンスが2回ある点はメリットですが注意点もあります。

2校に併願し、前期で合格して入学手続きを行うと、後期で合格できてもそれは無効とされるため、第一志望の医学部は前期日程で受けなければならないことです

なお、近年は後期日程を廃止する国公立大学が増えており、2021年度時点では後期日程を募集している医学部は17校にとどまっています。

2022年度入試では、新たに富山大学が後期日程を廃止しています。

しかし、前期日程が60名から70名へ増加するので、前期日程で合格を目指しやすくなります。

偏差値ランキング【2022年度入試向け】

偏差値ランキング【2022年度入試向け】

大手予備校の河合塾では、国公立大学医学部の二次試験の難易度を、前年度入試結果などに基づいて偏差値で表示しています。

数値は2.5刻みの偏差値帯の下限値で示されているのが特徴。たとえば、60.0とある医学部は、偏差値60.0~62.4まで、65.0の場合は65.0~67.4までの偏差値を意味します。

2021年度現在、医学部のある国立大学が42校、公立が8校の計50校で、偏差値ランキングは下表のようになっています。

なお、偏差値は試験の難易度の目安であり、大学の序列や格付けを表すものではありません

順位 大学名 偏差値
1 東京大学 72.5
1 京都大学 72.5
3 東京医科歯大学 70
3 大阪大学 70
3 山梨大学 70
6 東北大学 67.5
6 千葉大学 67.5
6 横浜市立大学 67.5
6 名古屋大学 67.5
6 神戸大学 67.5
6 九州大学 67.5
6 宮崎大学 67.5
6 大阪市立大学 67.5
14 北海道大学 65
14 奈良県立医科大学 65
14 旭川医科大学 65
14 弘前大学 65
14 秋田大学 65
14 筑波大学 65
14 群馬大学 65
14 新潟大学 65
14 信州大学 65
14 金沢大学 65
14 浜松医科大学 65
14 名古屋市立大学 65
14 滋賀医科大学 65
14 京都府立医科大学 65
14 島根大学 65
14 岡山大学 65
14 山口大学 65
14 愛媛大学 65
14 長崎大学 65
14 熊本大学 65
14 琉球大学 65
14 三重大学 65
14 鳥取大学 65
37 岐阜大学 62.5
37 福井大学 62.5
37 和歌山県立大学 62.5
37 広島大学 62.5
37 佐賀大学 62.5
37 大分大学 62.5
37 鹿児島大学 62.5
37 札幌医科大学 62.5
37 福島県立医科大学 62.5
37 富山大学 62.5
37 香川大学 62.5
37 高知大学 62.5
37 徳島大学 62.5
50 山形大学 57.5

共通テストボーダー一覧【2022年度入試向け】

共通テストボーダー一覧【2022年度入試向け】

二次試験を受ける医学部を選ぶ際の参考となるのが「共通テストボーダー」です。

河合塾によるボーダーラインとは、「合格と不合格の割合が50%になる共通テストの得点ライン」のことです。

たとえば、北海道大学医学部は300点満点で255点以上取った受験生の半数が合格できるということを意味し、試験難易度と受験する生徒のレベルを判断する目安になります。

大学名 配点 ボーダー得点(率)
北海道大学 300 258(86%)
旭川医科大学 550 451(82%)
札幌医科大学 700 588(84%)
弘前大学 1000 770(77%)
東北大学 250 215(86%)
秋田大学 550 446(81%)
山形大学 900 720(80%)
福島県立大学 650 520 (80%)
群馬大学 450 374(83%)
筑波大学 900 774(86%)
千葉大学 450 396(88%)
東京大学 ※110 828/900(92%)
東京医科歯科大学 180 162(90%)
横浜市立大学 1000 880(88%)
新潟大学 750 638(85%)
山梨大学 1100 957(87%)
信州大学 450 374(83%)
富山大学 900 738(82%)
金沢大学 450 369(82%)
福井大学 900 729(81%)
岐阜大学 800 640(80%)
浜松医科大学 450 360(80%)
名古屋大学 900 783(87%)
名古屋市立大学 550 462(84%)
三重大学 600 498(83%)
滋賀医科大学 600 498(83%)
京都大学 250 225(90%)
京都府立医科大学 450 369(82%)
大阪大学 500 445(89%)
大阪市立大学 650 566(87%)
神戸大学 360 317(88%)
奈良県立医科大学 ※900 747(83%)
和歌山県立医科大学 600 492(82%)
鳥取大学 900 747(83%)
島根大学 700 581(83%)
岡山大学 900 774(86%)
広島大学 900 747(83%)
山口大学 900 747(83%)
徳島大学 900 765(85%)
香川大学 700 574(82%)
愛媛大学 450 369(82%)
高知大学 900 720(80%)
九州大学 450 387(86%)
佐賀大学 630 510(81%)
長崎大学 450 374(83%)
熊本大学 400 328(82%)
大分大学 450 360(80%)
宮崎大学 900 738(82%)
鹿児島大学 900 738(82%)
琉球大学 900 729(81%)

※東京大学は、共通テストの得点を900点満点で表していますが、共通テストの得点は110点に圧縮され、二次試験の440点と併せて550点満点で合否評価がなされます。

※奈良県立医科大学は、共通テストの450点と二次試験450点を併せて900点満点でボーダー得点を割り出しています。

医学部志願者倍率ランキング

医学部志願者倍率ランキング

出願する医学部を決定する際の指標となるのが、偏差値ランキングや共通テストボーダーとともに「志願者倍率」です。

志願者倍率は難易度そのものを表すものではありません。

たとえば、東大や京大など偏差値の高い医学部が倍率は下位のほうであることからわかるように、倍率が低いから合格しやすい医学部というわけではありません

偏差値が同レベルの医学部の中から1校を選ぶとすれば、倍率の低い医学部が一番合格しやすいといえます。

また、偏差値に差がある複数の医学部から1校を選ぶというときは、倍率に関係なく偏差値の低い医学部が合格の確率は高くなります。

このように、倍率は自分の学力から見て希望の医学部に合格する可能性があるかどうかを判断するうえで必要なデータとなります。

【2021年度入試結果】国公立大学医学部前期日程・一般枠

順位 大学名 募集人員 志願者数 志願倍率
1 愛媛大学 55 531 9.7
2 岐阜大学 37 357 9,6
3 奈良県立医科大学 22 153 7.0
3 旭川医科大学 40 279 7.0
5 島根大学 55 363 6.6
6 福島県立大学 50 310 6.2
6 鳥取大学 58 358 6.2
8 宮崎大学 50 296 5.9
9 山口大学 55 306 5.6
9 長崎大学 76 422 5.6
11 広島大学 90 495 5.5
12 三重大学 75 401 5.3
12 信州大学 95 476 5.0
14 高知大学 60 294 4.9
15 佐賀大学 59 242 4.8
16 浜松医科大学 64 292 4.6
17 琉球大学 70 314 4.5
18 秋田大学 55 244 4.4
19 東京医科歯科大学 79 316 4.0
20 東京大学 97 373 3.8
20 新潟大学 80 307 3.8
20 名古屋大学 90 345 3.8
20 金沢大学 84 320 3.8
24 横浜市立大学 70 260 3.7
24 熊本大学 90 332 3.7
24 札幌医科大学 40 279 3.7
24 岡山大学 98 359 3.7
28 鹿児島大学 69 249 3.6
28 筑波大学 44 158 3.6
28 滋賀医科大学 55 197 3.6
28 富山大学 60 214 3.6
32 名古屋市立大学 60 208 3.5
32 福井大学 55 193 3.5
34 弘前大学 50 168 3.4
34 千葉大学 82 331 3.4
36 北海道大学 101 338 3.3
36 山形大学 65 214 3.3
36 徳島大学 64 212 3.3
39 東北大学 77 243 3.2
40 京都大学 102 299 2.9
40 和歌山県立医科大学 64 187 2.9
42 京都府立大学 100 277 2.8
42 大阪市立大学 80 225 2.8
42 神戸大学 92 261 2.8
45 大分大学 65 178 2.7
46 群馬大学 65 164 2.5
46 大阪大学 95 233 2.5
46 香川大学 110 276 2.5
46 九州大学 110 276 2.5

注:山梨大学医学部は後期日程のみなので、このランキングには入っていません。

国公立大学で合格難易度が下がる医学部はどこか

国公立大学で合格難易度が下がる医学部はどこか

二次試験が英数二科目だけの医学部

二次試験の科目は医学部によって大きく異なり、少ない場合は英語と数学の2科目で受験できるので対策負担が軽減できる分難易度は下がります。

ちなみに二次試験が英数2科目で受験可能な国公立大学医学部は下記の5大学。

旭川医科大学、弘前大学、秋田大学、島根大学、徳島大学
※2022年度入試より宮崎大学は理科2科目実施

なかでも難易度が下がると思われるのは徳島大学

偏差値ランキングでも分かるように一番低いです。

しかも、徳島大学は共通テスト(旧センター)と二次試験の得点比率が900:400と圧倒的に共通テストが多いのが特徴(2021年度入試)。

したがって、基礎的な出題内容で構成される共通テストを突破できれば、合格難易度も大きく下げることができるということです。

共通ボーダーも8割前半なので国公立大学医学部の中では難易度が下がると言えるでしょう。

絶対に進学したいなら私立も候補に入れるべき

絶対に進学したいなら私立も候補に入れるべき

医学部へ絶対に進学して医師になりたいなら、難易度が下がる私立大学も候補に入れるべきです。

私立大学医学部の場合、共通テスト必須ではないので、独自入試の英語・数学・理科二科目だけの対策で済みます。

文系科目の対策時間が不要になるので、より集中して対策できるため、学力も伸ばしやすくなります。

しかも、私立大学は入試日程がバラバラなので、併願受験が可能。

難易度が同じくらいの医学部を併願すれば、どこかの医学部に合格できる確率は高くなります。

ただし、入試問題は私立ほど大学ごとに傾向に差が出るため、過去問等での対策は必要です

私立は学費が高額ですが、その分国公立大学よりも難易度が下がり、併願受験もできるため、合格できるチャンスが広がります。

私立大学医学部の難易度はこちら

まとめ~学費の安い国公立大学は難易度が高い~

国公立大学は国から運営費補助金が支給されるので、医学部6年間の学費は総額で350万円ほどです。

私立の医学部は平均3,000万円ですからその10分の1程度で収まります。

保護者の経済的負担が少ないので、全国のトップクラスの秀才が国公立大学医学部を目指すことに。

そして、共通テストを突破して二次試験に進みます。

共通テストも二次試験も学科は高校の教科書レベルなのですが、受験生全体の学力が高いため、1、2点の失点が命取りになる激戦となります。

つまり、学費が安いことと、ケアレスミスが許されないことが医学部の難易度を高くしているのです。

難易度の下がる国公立大学医学部も紹介しましたが、やはり難しいには変わりありません。

こうした難関に独学で挑むのは厳しいものです。

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